父ちゃんの恐怖の飲み会
僕の父ちゃんはのんべいです。そんな父ちゃんが毎回飲み会で暴れ回る恐怖の一部を書いていきます。
毎年7月と12月にある会社の飲み会。毎年その時期が近づいてくると憂鬱な気分になります。飲み会前日になると母ちゃんも顔が青ざめて来るのが分かるほどヤバい時期です。そんな父ちゃんに母ちゃんは一ヶ月前から「毎回どうせ暴れるのだから飲み会に行くのは止めてくれ」と率直な気持ちを訴えますが、父ちゃんはバツが悪そうに「俺だけ飲み会に行かないのはダメだ」と断り突っぱねます。
そして飲み会当日の朝は父ちゃん以外全員顔が死んでいます。飲み会の夕方6時が近づいて来たので車で送ります。車の中でも父ちゃんに念を押すように何度も今日は暴れずに帰ってこいと言い聞かせますが、「俺がいつ暴れたんだ」と逆ギレされて颯爽と居酒屋に消えていきました。帰りの車中で母ちゃんはいつも今日は普通に帰ってきてくれと祈り一旦自宅に帰ります。
母ちゃんもソワソワしながら待つこと2時間。ようやくベロンベロンに酔っ払った父ちゃんから電話があり車で迎えにいきます。行きの車中でも今日は普通に帰ってきてくれと祈る母ちゃんを横目に僕は「あの頭のネジがぶっ飛んだ親父が普通に帰って来るわけ無いだろ、そんなこと母ちゃんも知っているはずだ」と心の中で叫んでいました。
身体の震えが止まらないほどドキドキしながら居酒屋に到着。早速玄関をガラガラ開けて中に入ると会社の同僚の方が気づき、父ちゃんに奥さんが迎えに来てますよと声をかけてくれるのですが、べろんべろんに酔っ払った父ちゃんはそんなことお構いなしに喋り続けます。
飲み会も終わり同僚の方も次々と代行で帰っていく中一人残される父ちゃん。よし、このまま居酒屋から引きずり出して連れて帰ってやろうと思った矢先、全く知らない隣のおじさんに因縁を付けて絡み始める父ちゃん。それを見てヤバいと察した母ちゃんが急いで外に連れ出します。
時既に遅し。アタオカ父ちゃんはキレだしたら知らないおじさんだろうがおばさんだろうがマッチョだろうがお姉さんだろうが関係ありません。わめき散らします。と言う事で外に出てきたおじさんにケンカを仕掛けます。気持ち良く飲んでいたおじさんもさすがにキレて殴り掛ろうとしますが、そこは父ちゃんも頭を使いある程度の距離を保ちながら言葉のケンカを仕掛けていきます。意外に冷静な父ちゃんです!!
そんな父ちゃんに関心しながら仲裁に入りおじさんに謝りながら無理矢理引きずり車に向かいます。ようやく帰れると安心したのも束の間、頭に血が上っている父ちゃんは駐車場でずーーーっとわめき散らかして暴れてしまいます。困ったなぁと頭を抱えていると居酒屋の店主が通報した警察が到着。一番最悪な展開となってしまいました。
警察が大っ嫌いな父ちゃんは警察に勇猛果敢に挑みます。パトカーに乗り込もうとしたり、胸ぐらを掴んでみたり、警棒を奪ってみようとしたり、言葉のケンカをしてみたり試行錯誤、試みる父ちゃんですがあっという間に身動きの出来ないうつ伏せの状態に制圧されてしまいました。そんな光景を見ていた我々に父ちゃんは「なんで俺がこんなにつらくて苦しんでいるのに黙って見ているだけで助けてくれないんだ」とますますヒートアップ。暴れなければいいだけのはなしなのですが。
さすがにこのまま警察とやり合っていると父ちゃんが捕まると思い無理矢理車の中に押し込んで警察の方にお詫びをして帰りました。
警察から引き離したのはいいのですが、帰りの車中が大変で事故って死ぬのでは無いかと思うほどの大暴れ。助手席に乗っていた母ちゃんの髪の毛を後ろから掴んだり、首を絞めたり、殴ったり、父ちゃんの暴力を阻止しながらハンドルを握って運転するスリリングな体験をしました。
事故を起こさずかろうじて自宅に到着しても父ちゃんの怒りは収まらず、「なんでさっき俺を助けずに笑って見ていたんだよ」と母ちゃんに怒鳴り散らし暴れ回ります。こんなやり取りが5~6時間続き家族も疲れ切っているところで今度はさっき俺を取り押さえた警察が気に食わないと言い出し「今から警察署に電話をして家まで謝らせに来させてやるんだ」と息巻いていたので、両手両足を拘束して柱にロープでガチガチに縛り付けてやりました。
これで寝るのを待とうとしましたが、相手は化け物なので縛りを解除しちゃいます。そして「お前らこんなことをして覚えておけよ」と鬼の形相で言われてしまいました。怖かった。
この後深夜の2時過ぎに母ちゃんに今から警察署に行って俺を取り押さえた警察を家に連れてこいと無茶ぶり。でも言う事を聞かないと何をされるか分からないので母ちゃんと一緒に車で向かいます。
まずコンビニに向かい弁当を買って腹ごしらえしました。そしてそのまま夜が明けるまで車中泊を行いクソ親父が寝静まるのを待ってから自宅に帰りました。自宅に帰るとさすがの親父も顔面あざだらけで疲れ切って寝ていました。チャンスとばかりに茶の間でウトウトしていたら、お昼12時過ぎに親父が起き出して来て騒ぎ始めたので急いで隠れましたが見つかってしまいまた母ちゃんと昨晩のケンカが始まってしまいました。それから8時間喋り続けて会社に出勤していく親父の背中を見守る家族なのでした。